私は、何か気の効いた言葉を言おうと考えたが何も浮かばなかった。
だから、りゅーたんが死んじゃった話や
隆介のお母さんを探しているという話をした。
聖子さんは、いつも目を見て話を聞いてくれる。
空が暗くなればなるほど、ツリーのブルーが美しくなる。
ここでのバイトはバイトというより、悩み相談の場だった。
聖子さんに会うと、いつも心が軽くなっていた。
幼稚園くらいの男の子が、全速力で走りながら私達の前を通り過ぎた。
その様子を穏やかな笑顔で見つめる聖子さんは、母の目をしてた。
その時だった。
聖子さんのポケットの中の携帯が鳴った。
多分、音を聞いて誰からの電話なのか、わかっていたんだろう。
聖子さんの手は、少し震えていたから…