美菜と橋本さんが手を繋ぎながら歩いていく姿を私と聖子さんはじっと見つめてた。



「羨ましい…」


聖子さんがポツリと呟いた。



素直にそう言える聖子さんが好きだ。


聖子さんは、遠くに見えるツリーをじっと見つめたまま、話し出した。




「今年のクリスマスは会えないんだ…弘人と。もしかしたら、仕事っていうのは嘘で、他に誰かいるんじゃないかって疑ってしまう自分がイヤなの。」



珍しく来たお客さんは、たまたま通った牛さんの頭を撫でていた。


牛さんのおかげで、聖子さんの涙は誰にも見つかることなく拭き取られた。



私には


見えてたよ…




大きな目に浮かぶ綺麗な涙…



誰にも頼らずに、一人で生きていかなきゃって頑張る聖子さんの涙。




早く、答え出してよ…弘人。


答え、決まってるんでしょ?



来年の夏までなんて待てないよ…




聖子さんを何度泣かせるの?



今すぐここに来て、ぎゅって抱きしめてあげないと

聖子さん・・・どっか行っちゃうよ。