1年の中で一番うきうきするはずの季節。
だけど、今までクリスマスがあまり好きじゃなかった。
お父さんが死んじゃってから、我が家にサンタさんは来なくなった。
クリスマスが近付くと、お父さんを思い出した。
骨の付いた鶏肉を口いっぱいにほおばって、大笑いするお父さんの顔が今もはっきりと瞼の裏に残る。
あれがいつのクリスマスだったかは忘れたけど…
お母さんがツリーを出してくれると、私とお父さんは一緒に飾りつけをした。
背の低い私は、低い場所にしか付けられなかった。
「美亜、おいで」
お父さんは軽々と私を抱き上げ、一番高いお星様を私の手で付けさせてくれた。
お父さんとの時間は短かった分、濃厚なんだ。