もう街はクリスマス一色。
商店街を歩いていると、あちらこちらからクリスマスソングが聞こえてくる。
呼び出されたお店は、商店街を抜けた路地にひっそりと立つ喫茶店。
昔から知っている店だけど、一度も入ったことがなかった。
昔懐かしい地味なクリスマスツリーが私を迎えてくれた。
カラン…
ドアを閉めると音がした。
その音に気付いてこっちを見る。
「美亜ちゃん!!」
今日は、鈴子に呼び出されたんだ。
鈴子からもらった2代目のハムスター『モカ』は、りゅーたんと似ていた。
毎晩、夜中まで走り回る音を聞きながら、幸せを感じてた。
「鈴子…どうしたの?」
まだメアドの交換をしていなかった私と鈴子。
今日は、隆介から連絡が入った。
「ここ、素敵でしょ?」
鈴子は、先に頼んでいた紅茶の中に浮かぶレモンを取り出しながら、店の中を見渡した。
薄暗い店の灯りはオレンジ色で、コーヒーの匂いがした。
その香りに、隆介を思い出し…
きゅんとする。