きっと悠亜さんは予想もしていないだろう。


そういう話を切り出すのは、こんなにも勇気がいるんだ。



「美亜ちゃんは、いい女になるよ~」


悠亜さんは、そう言いながら私の髪を持ち上げたり、といたりしながら

今日の髪型を考えているようだった。



シャンプーをしてもらっている時だった。


「美亜ちゃんの彼氏かっこいいの?」


目にタオルを乗せたまま頷いた。



「へぇ…会ってみたいな。」


悠亜さんのその言葉に、私はひらめいた。




口で言うより、会っちゃえばいいんじゃない?


ここに隆介を呼んで、感動の再会しちゃえばすぐに状況はわかってもらえる。




でも、その計画は5秒で私の脳から消えた。




美亜のばか。



ヤキモチなんて焼いちゃってた。


だってさ、初恋の人だよ。





お互い好きだったんだよ…



もし、時が止まったように見つめあったりなんかしたら

私…


やっぱりやだ。




だって…


悠亜さん綺麗だし、きっと昔よりずっと綺麗になってる。



隆介だって今、あんなにかっこいいんだもん。




いきなり会わせることは、やめた。




「あのね… 悠亜さんってゆうちゃんって呼ばれてた?」


シャンプーを終えた悠亜さんが私の髪を乾かす。


私の質問に、不思議そうな顔をした悠亜さん。


「ん??昔は呼ばれてたかなぁ?」


そう言って、髪を切り始めた。


私はその手付きをじっと見つめながら、次の言葉を考えていた。



口の中にまで出てきた言葉…


勇気を出して言った。



「悠亜さんの初恋の人、私の彼氏だと思います!」


私ってばかだなぁ。


唐突過ぎて、ポカンとしてるよ…



「どういう意味?あ、同じ名前ってこと?」



「違うんです!!私の彼氏の初恋の人の名前が悠亜さんなんです!!」


これまた意味不明。


隆介の生まれた街の名前を言うとか、名字を言うとかいろいろあるのに。