「かわいい!!!」
「ちっちぇえなぁ!!」
私と隆介は顔を見合わせた。
私達の声に気付いたお母さんが中へ入るようにと言った。
リビングでお母さんの入れてくれた温かいココアを飲んだ。
「よけいなお世話だったらごめん…」
鈴子はココアに視線を向けたまま、小声で言った。
「ううん!!全然そんなことない。嬉しい!!!」
私はダンボールの中でクルクルと走り回る小さな小さなハムスターを見つめた。
りゅーたんの代わりはいない。
でも、りゅーたんに少し似たそのハムスターの存在が私の心の隙間を埋めてくれることだけは確かだ。
「それと・・・これ。」
照れ臭そうに鞄から出したのは、赤いノートだった。
ゆっくりと開く。
そこには、りゅーたんが生まれた時の写真が貼られていた。
まだピンク色をした小さなりゅーたんが
目を閉じて眠っている写真。
「りゅーたんを隆介に渡すまでの間に、いっぱい写真撮ってたから…いつか渡そうと思ってたんだけど…遅くなっちゃってごめんね。」
私は鈴子の細い肩を抱きしめて、泣いた。
嬉しかったんだ。
ただ
嬉しくて
仕方なかったんだ。
りゅーたんを愛してくれる人の存在が
りゅーたんは一生生き続けるんだって思わせてくれた。
そして、
悲しむ私の為に駆けつけてくれた隆介と鈴子。
優しい気持ちが
私の心を温める。
「鈴子ぉ…ありがど。今までいろいろごめんね…」
「私こそごめん… 健太と仲直りしたから…本当にごめん!」
私と鈴子の会話を聞いてないフリしてTVを見てる隆介だけど、
きっとちゃんと聞いてるよね。
チラっとこっち見て、ニヤリと笑う。