「美亜、どしたんだ?何真っ赤になってんの?」
立ち上がったり座ったりして、落ち着かない私を見て、隆介は不思議そうな顔をした。
「あ…明日!!私、髪切るから!」
訳の分からないことを言う私に隆介は、ずっと笑ってた。
期待させちゃうといけないから、まだ悠亜さんのことは言わないでおこう。
それからも私は、ニヤついたり突然考え込んだりして、ずっと隆介に笑われてた。
眠ろうとしても、興奮して眠れなかった。
悠亜さんの笑顔を思い出し、おばあさんの話を思い出し…
隆介の初恋の話を思い出す。
どうか…
『ゆうちゃん』でありますように…
ふとんの中で私は涙が出た。
思い出してしまったんだ。
髪を切りに行ったときに悠亜さんが言ったこと。
私の携帯の画面を見て。
『隆介』の文字を見て。
悠亜さんは言ったよね。
『私の初恋の人の名前も隆介だったんだ』…って。