車の音と定食屋さんから漏れる笑い声。


魚のいい匂い。




どれくらいこの場所にいたんだろ。


私の顔はいつの間にか涙でびちょびちょになっていた。




…帰らなきゃ……



そう思った瞬間。




私の腕を乱暴に掴む一人の男。



秋なのに…汗かいて、普段はセットされた髪を振り乱して…


ハァハァと、荒い息。




「おい… 急に消えんなよ。」



汗だと思う。


だけど、私には…泣いているように見えた。




隆介……。