タバコの匂いと隆介の匂いで、私は涙が出そうになる。



隆介は私の肩に顔を押し付ける。



「だって……お前、泣いてたから…。強がってたけど、心の中…泣いてた。」


そう言って、


おでこにキスをした。




「俺、もう大事なもの失いたくねぇから…どっちにもいい顔してちゃだめだってわかったから…」



隆介…


隆介は


強がる私の心の中をちゃんと見てくれてたんだね…




「鈴子の涙なんかより、美亜の見えない涙の方が…俺には伝わったから。」



隆介は、おでことおでこをくっ付けながら、少し笑った。



「隆介ぇ…ふぇぇ…ん ほんとは…すんごい…怖かったよぉ…」


突然溢れ出した涙は隆介が驚くくらいに流れ落ちた。


隆介は笑いながらその涙をトレーナーの袖で拭いてくれた。



「泣き虫~!!」


左手で頭を撫でながら…右手で涙を拭いてくれる隆介。



私は隆介の胸に飛び込んで、泣きながら笑った。


「隆介…ありがと…!だいしゅき。」


「だいしゅきぃ???何だそれ!!ば~か!!」


隆介が私のほっぺを両手で挟んで、グリグリってしてきた。




「コーヒー入れてやるからな…座ってろ!」


隆介は、とびっきり優しい顔でそう言って、台所へ行った。