ガタン…
部屋に入ると、タバコの煙が充満してた。
いつもタバコを吸うときは窓を開ける隆介が、窓も開けずに…
「やっと帰ってきた…」
私に気付いた隆介が
私に近付いて…ぎゅって抱きしめた。
灰皿に置かれたタバコから白い煙が真っ直ぐ天井まで上る。
「遅いよ… 早く帰って来いよ。俺を泣かせんな…」
隆介の息が私の体を温める。
少しだけ赤い目が、すごく愛しいよ。
「隆介…ごめんね… 鈴子泣かせてごめん。でも、帰れって言ってくれて嬉しかった。」
私はゆっくりと隆介の背中に手を回した。
隆介も私の背中をすっぽりと包む。