「ごめんね… 彼女できたのに、やっぱり隆介には傍にいて欲しくて…わがままだよね。」


私は、背中に乗せていた手を離した。


少しでも同情した自分に腹が立った。



やっぱ、最低…


私の気持ち知って、身を引くかと思ったけど甘かった。




帰って!!…って言おうとした瞬間だった。



ドアが開いた。




私と鈴子のバトルの中心人物が帰ってきた。


隆介は何も悪くないのに…



申し訳なさそうな顔して、玄関に立ちすくむ。




この状況…


男だったら怖いよね。



帰ったら、彼女と元好きだった女がいて、片方は床に顔をつけて泣いてるんだ。




逃げちゃいたいくらい怖い状況…




しばらくの沈黙の後、隆介が口を開いた。




「鈴子、何でお前がここにいるんだ…もう2度と来るな…」



予想外だった。


きっと、私はいじわるな顔してたよ。


鈴子は泣いてたんだよ。



それなのに、鈴子に帰れって言ってくれた。




「詳しい話は美亜から聞くから…鈴子はもう帰れ。」


あまりにも怖い口調に、私まで震えそうになった。



「隆介…あのね、鈴子は、ハムスターを連れてきただけなの…」


何、かばってんの…私。


鈴子の肩抱いて、鈴子にかばんを渡す。



鈴子は震えた手で、小屋の中からハムスターを取り出した。



「ごめ…んなさ…い…。隆介…ごめん…」


潤んだ瞳で、隆介を見ないで…


鈴子…お願いだから。