「まだです…いいとこまで行くんだけど…やっぱりまだ隆介は過去の傷が残ってるのかも知れない。だから、踏み込めないんじゃないかって…」


私はコーヒーをスプーンでかき混ぜながら、今までのことを思い出してた。


エッチの予感を感じてから、何度未遂で終わったことか。


毎回お気に入りの下着をつけてる私って、ばかだよね…



「それは違う。言っちゃっていいのかなぁ…怒られるからなぁ。」


たっくんは困ったような表情で、天井を見上げた。

ゆかりがたっくんの腕を掴んで、


「たっくん、話してよ!何か聞いてるの??」


と、私の代わりにたっくんに聞いてくれた。




何度もたっくんは天井と私の顔を交互に見た。



「隆介に言うなよ…あのさ、あいつ付き合う前から我慢の限界だったんだって。美亜ちゃんと2人きりで部屋にいると襲いたくなるって話してたから…」


意外…

隆介はそんな風に見えなかったよ。


「こないだ言ってたんだけどさ、美亜ちゃんは昔に男に裏切られたことあるから、男に対して不信感があるって…だから、あいつは美亜ちゃんの心の傷をゆっくりゆっくり癒すんだって言ってた。」



私はいつの間にか涙が頬を伝ってた。


信じられない。


いじわるなこと言って、いじめてるように見えて…あいつはそんなこと考えてたんだ。



「美亜、良かったね。隆介君最高の彼氏じゃん!」


ゆかりが向かいに座る私の隣に移動してきて、頭を撫でる。


「うん…嬉しいよぉ…信じられない。」


私はもう傷なんて消えちゃったんだよ、隆介。


あんたが私の傷を消してくれたんだよ。