しばらく夕焼けに頬を染めたまま聖子さんは動かなかった。
聖子さんは
弘人の元へ飛んでってるんだって思った。
今、きっと聖子さんは 楽しかった誕生日に戻ってる。
しばらくして、ふっと笑った聖子さんが言う。
「ちゃんと伝えたよ… しばらく待って欲しいって言われたんだ。今の彼女との関係きっちりさせてから、もう一度考えたいって…」
弘人さんはまじめな人なんだと思った。
彼女の存在は、きっと隠せるはずだし、嘘をつけばいくらでも誤魔化せた。
ちゃんと聖子さんを受け入れたいから、正直に話したんじゃないかって思った。
私は何も言えないまま、隣に座って話を聞いていた。
聖子さんは、笑いながら目から涙を流した。
こんな綺麗な涙があるんだろうかと、私はその涙に見とれていた。
みんな恋をして
みんな悩んで
泣いて 笑って 苦しんで…
でも、やっぱり恋をやめられない。
恋の力はすごいから…
恋すると
新しい自分がどんどん生まれ出てくるんだ…