バスを降りると、飼い主を見つけてしっぽを振る犬のように…

美菜は橋本さんに駆け寄る。



その姿を見て笑っていた聖子さんの元に、今度は私が駆け寄る。



大好きなお姉さん、聖子さん。


私には大好きな人がたくさんいて、

会いたい人がたくさんいて…幸せすぎて怖い。



「会いたかったよ~!美亜!」

「私もです~!聖子さん!!」


わざとらしく久しぶりの再会かのように抱き合う私達を横目で見るポニー。


まだ新入りのポニーは、居心地が悪そうに辺りを見回していた。



聖子さんの大事な日が先週だったことを思い出す。


大事な弘人の誕生日…


「あの……どうでした?」


遠慮がちに聞く私に聖子さんは微笑みながら頷いて、目をそらす。


「寝ちゃった… 軽蔑する?」


私は首が痛くなるくらい首を横に振った。


軽蔑なんてするはずがない。


さっき、美菜の話を聞いた時と同じ気持ちになる。




好きなんだもん。


誰がなんと言おうと自分の気持ちに素直でいるべきだと思う。




その時、彼の愛が自分に向いていると感じたなら

愛し合うことは間違っていないんじゃないかな。



まだよくわからない経験の少ない私だけど、

これだけは言える。



誰も聖子さんを責めることなんてできないってこと。


同じ立場だったら、私も同じことをしていたよ。



曖昧な関係に終止符を打つきっかけになるかもしれないという望みも、

再び結ばれることでまた好きになってしまうかもしれない怖さも

よくわかる。




恋する女の子なら、聖子さんの気持ち、わかると思うよ…