キスをした。


たくさんの車が通る道路の上で…


きっと誰も見てないね。

誰も気付かないよね…



小さな小さな愛だけど


誰にも負けない強い愛。





私達は、キスをしながらこっそり目を開けて見つめ合う。


「俺には…お前しかいねーから。」


隆介は『好き』という言葉の代わりにたくさんの素敵なセリフをくれる。



だから、『好き』は、まだまだ先まで楽しみにしとくよ。


わかるから…


隆介が私を愛してくれてること、ちゃんと伝わるから。



たくさんのキスをお父さんに見られたね。


だけど、今夜の空は雲ひとつなく、星がどんどん増えていく。



歩道橋からすぐの路地に小さなうどん屋さんがあった。

隆介がよく一人で行くと言うそのお店で、温かいうどんを食べた。


うどんを冷ます隆介の顔があまりにもかわいくて、写メを撮った。


「ばっかじゃねーの…!」



睨むように私を見た隆介をまた


パシャ……


「ばか!!覚えとけよ……」


隆介は呆れたように笑った。


私は早速携帯の待受画面に隆介の画像を登録した。


「なーに笑ってんだよ。」


隆介が右手で私の頬を軽く撫でた。


顔を上げた私は、隆介と目が合い…


あまりの近さに下を向き、顔の温度を下げようとした。



さっきキスしたのに…


まだ目が合うだけでドキドキする私って変かな…



店を出て、手を繋ぎながら手をぶらぶらと大きく揺らしながら歩いた。



「あ…父ちゃんからお許し出た!」



私と隆介は星を見てから、お互いに顔を見合わせて笑い合った。