まだ完全に目覚めていない隆介の手を引き、改札を抜ける。
「みーたん……抱っこ……」
隆介が目をこすりながら、最高にかわいい声を出す。
やばい…
母乳出ちゃうよ。
母性本能くすぐり過ぎだよ…隆介。
「はいはい…」
私は隆介の背中に手を回す。
「バイクは?」
「今日は歩いてきた。お前と……歩いて帰りたいからぁ。」
体重を私に預けて、眠そうな目を必死で開ける隆介がかわいくて仕方がない。
2人でゆっくりと歩く。
お父さんは、美亜の誕生日を祝ってくれてるかのように、夜空に満天の星………
きっと隆介は星を見る。
この満天の星空を見て、お父さんのOKだと思うはず。
「美亜…お前、いつまで俺を好きでいる?」
寒そうに背中を丸めた隆介が呟くようにそう言った。
隆介は不安なんだ。
大事な人が去っていく寂しさを覚えてるから…
私は強く手を握り、隆介の顔を覗き込んだ。
「ずっと……隆介がいいって言うならずっとずっと好きでいる。」
私の言葉に隆介はフッ…と笑った。
「ううん、違う。隆介が嫌だって言っても、私はずっと好きだから。嫌いになんかなれないもん!」
歩道橋の上…
車のブレーキランプで赤くなる隆介の顔。
隆介が私を抱きしめた。
そして言うんだ。
「お父さん、俺を彼氏として認めてください…」
私は涙が溢れた。