玄関で、お父さんが言った。
「隆介をよろしく頼みますね。また一緒に来てくれると嬉しいんだが・・・」
私は大きく頷いて、お父さんに手を振った。
玄関から一度出てから隆介がもう一度、家に入り大声で言った。
「おかん!!もう帰るぞ!また来るから…元気で・・・」
涙ぐんでいたのは私だけじゃなかった。
門を開けたお父さんも涙をこらえるのに必死だった。
また好きになったよ…
隆介。
早足で歩き出した隆介は何度も咳払いをした。
私は走って、隆介の腕を引っ張る。
「なんだよ!ばか!」
隆介はそう言って、私の手をぎゅっと握ってくれた。
手を繋いで駅まで歩いた。
その途中に、隆介が通っていた小学校があった。
隆介は懐かしそうにその小学校を見て、少し立ち止まった。
「また、一緒に来て…俺、弱虫だから…お前がいないと・・・」
小学校を見つめたままそう言って、感動してる私のおでこをつっついた。
隆介は弱虫なんかじゃないよ。
知ってるよ。
隆介は強くて、温かくて、優しいんだよ。
わかりにくいけど、私はわかる。
よく見てればわかる。
隆介の心の奥の優しさが…