照れ屋な隆介は、それから電話をしてもとてもぶっきらぼうだった。
だけど、それが愛情の裏返しだってことを感じることができるのは、隆介の声が優しいから。
隆介の実家の近くへ出掛けたことは言わなかった。
何も見つけられない、何も進歩のない『お母さん探し』は、隆介には恥ずかしくて言えないよ。
期待させても、がっかりさせちゃうだけだから…
ただの自己満足なのかも知れないんだ…
本当は隆介は、お母さん探しなんてして欲しくないかも知れない。
だけど…
やっぱり、隆介の心の中にぽっかり空いた穴を少しでも埋めたいって思う。
もしも、お母さんともう一度会えたら…
隆介の長年の誤解が解ける。
お母さんは隆介を愛してないわけじゃない。
望んで、捨てたわけじゃないって…
離れた場所から隆介をずっと想ってたって、お母さんの口から隆介に伝えて欲しい。
よけいなお節介かも知れないけど、
お母さんが実際どんな人か私は知らないけど…
隆介を生んでくれた人だから、
きっと…温かい人だって思うんだ。
こんなこと考えてる私は…
あんたの為に何かしたくて、焦ってるだけなのかも知れない。