隆介の告白を最後まで見ていないことが私を苦しめた。

もしかして、あの後隆介は鈴子にフラれたんじゃないか…

だから、私の所に来てくれたんじゃないか・・・



そんな事まで考えてしまう夜もあった。



信じてる。

だけど、どこかで疑ってしまう自分がいた。



枕に染み込んでいく涙は私の不安のように、なかなか乾いてはくれなかった。


濡れた枕で眠ると、必ず鈴子が現れた。



鈴子に会って聞きたかった。

昔好きだった男に告白されて、今どんな気持ち?

揺れ動いてる?


他の女のとこに行った隆介を引き留めておきたい気持ちが芽生えた?

どうして、バイトで会えるのにわざわざ家に来るの?




プルルルル…


今日はかかってこないと思ってた。

なぜなら、さっきおやすみメールが来たから。



『もしもし、寝てたか?』

寝転びながら話してるのがわかる。

少し声が変わるんだ。


『起きてた。電話かかってくると思わなかったよ。』


ライターの音、カチンって聞こえた。

フ~って音も聞こえる。



私の全神経が電話の向こうの隆介に持ってかれちゃってる。


『ちょっと、眠れなくてさ。お前の声聞きたくなった。』

携帯電話の録音機能の使い方を覚えていない自分にガッカリした。

こんな嬉しい言葉、永久保存しておきたかった。


明日、携帯に詳しいゆかりにちゃんと聞いておこう。


『私も眠れなかったから、隆介のこと考えてた。隆介も眠れないこと、あるんだね。』


私はベッドから起き上がり、窓辺のカウンターに肘をつく。

曇りガラスの向こうに月の綺麗な黄色が確認できる。