「聖子さんは…これからどうするんですか?もうすぐ弘人の誕生日だったよね?」


私は夕日を見つめたまま話したのは、聖子さんが涙ぐんでいるように感じたから。


聖子さんの涙は、私が見ちゃいけないと思うくらいに透明で美しい。



「美亜のおかげで勇気出た。私も怖がってばかりいないで、向き合わないとね。」

私の思った通り、聖子さんの瞳には涙が溢れていた。

夕日のせいで、その涙の輝きが眩しかった。


みんな一生懸命生きて、一生懸命恋をしてる。


隆介に出会って、アイツに恋をしてから、それがわかるようになった。


私の周りにいる大事な人…みんな悩んで、苦しんで…でも必死で幸せになる為に頑張ってる。

ゆかりも直も…両想いだからって悩みがないわけじゃないってこと、知ったよ。

愛されていても、嫉妬もするし…意地を張ったり無理したり…相手の気持ちを信じられなくなったりする。


そして、美菜のように…忘れられない人をずっと想い続けている子だっている。

そのままその人を愛し続けるのも、新しい恋に進むのもどっちも勇気がいる。

だけど、美菜は新しい恋に踏み出した。


傷ついた分だけ、臆病になって、前に進む一歩の歩幅が小さくなる。


もう傷つきたくない。

もう泣きたくない。

もう裏切られるのは嫌。