隆介は正直に話してくれた。

過去に好きだったと…

隆介は鈴子への気持ちを押し殺し、健太と鈴子と友達関係を続けていた。


そのうち忘れるだろうと甘く考えていた隆介だったが、何も知らない鈴子は何かあると隆介に頼る。


忘れたくても忘れられなかったんだって…



大事な人が自分の前から去っていく辛さを、隆介は知ってる。


だから、もう誰のことも『大事』だなんて思わないようにしてた。



鈴子への気持ちは、恋愛なのかどうかわからないって言った。

失恋して落ち込む隆介のそばにいたのが鈴子だけだっただけ。



別に鈴子じゃなくても好きになってた…なんて言ったけど、それは隆介なりの私への気遣いだと思う。


きっと本気で鈴子を愛してた。

だからこそ、ちゃんと気持ち伝えて終わりにしたかったんだ。


最後まで、鈴子への隆介の告白を聞いたとは言えなかった。

言ってしまうと、涙が出そうだったから…



ずっと抱き合ったまま話していたせいで、私は体が火照ってた。


「気付けよ…お前を何とも思ってないなら、ハムスターにお前の名前なんか付けねーだろ?」


みーたんの名前の由来が隆介の口からはっきり聞けたことが嬉しかった。


「私、これから隆介の彼女?」


私は初めて見る隆介の表情にドキドキが止まらない。



「彼女がいいの?俺の中では、ペットって彼女以上なんだけど…」


私は隆介の首に手を回し、思い切り頬を摺り寄せた。



「隆介、大好きぃ!」


「ばーか!離れろって!」



隆介はそう言いながら、私を強く抱き締めた。



風で乱れる髪を何度も直してくれる隆介に惚れ直す。


悠亜さんのおかげかな…


素直になれたよ、悠亜さん。


今日、美容院で感じてた気持ち、一生忘れないでいようと心に誓った。