また期待してる。
隆介が『おう、いいじゃん』って言ってくれること。
もう、私はアイツのペットじゃないのに…
会いたい。
会いたいよ、隆介。
鈴子を好きでもいいから、会いたい。
ほら…
また…
預けた鞄の中で携帯が鳴る。
あの着メロは隆介…
「携帯、美亜ちゃんの?取ってくるね。」
悠亜さんは、チラリと鞄の方向に動いた私の目を見逃さなかった。
鳴り続ける携帯の画面の文字。
『隆介』
「彼、隆介って言うんだ。ごめんね、見えちゃった。偶然だけど、私の初恋の人も隆介って名前だったよぉ!もう10年くらい前だけどね。」
悠亜って名前も美亜と似てて…
初恋の名前が隆介だなんて、この出逢いもお父さんからのプレゼントだって感じる。
大人になりたくないと思ってた私の前に現れた素敵な2人の大人の女性。
聖子さんと悠亜さん…
大人になるのも悪くないって思わせてくれる。
「美亜ちゃん、すごくかわいいよ。素直に気持ち話してみたら?隆介君に… 後悔だけはしてほしくないから。」
出来上がってもなかなか席を立てない私に悠亜さんがコーヒーを出してくれた。
コーヒーの香りは、また誰かを思い出す。
あの部屋…
あのソファ…
もう行けないのかな。