髪を触られるのが好きだから、美容院が大好き。

なんだか落ち着くんだ。


隆介もよく美亜の頭撫でてくれたな…

もう撫でてくれないのかな。

また、隆介に撫でられたいよ…



髪を洗ってもらいながら、そんな事を考えてた。

顔に乗せられたタオルに涙が染み込んだ。



きっと、私の涙に気付いてる悠亜さん。

いつもより、念入りにシャンプーしてくれてるんだと思う。


さっきからずっと頭皮をマッサージしてくれてた。

気持ちよくて、眠ってしまいそうだった。


昨日の夜はあまりちゃんと眠れていないから。



オルゴールの曲は、隆介の好きな曲。

いつか、イタリアンを食べてる時に、BGMでかかってて好きだって言ってた。



こうして、毎日毎日隆介のこと思い出しながら

私は生きていくのかな。



他の男なんていらない。


隆介じゃないと嫌だ。




頭皮をマッサージされているせいか、頭がすっきりとしてきた。


自分の考えがまとまるようだった。



結局、私は髪を切っても隆介を忘れるつもりはないんだよね…


ただ、ちゃんと前を向いて歩きたいから髪を切る。



忘れるため、じゃないんだよね。



その気持ちを知っていたかのような仕上がりだった。


ベリーショートでもいいです、と言ったのに、肩までのセミロング。


ふんわりとした女の子らしい髪型。



今までしたことのないかわいい感じ。


ちょっと照れちゃうような、女の子を意識させる仕上がり。



「似合ってるよ!」


悠亜さんの手にかかると、私はどこから見ても素直でかわいい女の子。


意地っ張りで、強がりな私はどこにもいなかった。