鈴子には健太がいるじゃん…
健太とラブラブじゃん。
思わせぶりな事言わないで、あっさり振ってくれればいいのに…
「今さら言わないで!健太に告られる前、隆介が好きだったのに。」
そんな事…どうして今さら伝えるの?
いいじゃん・・・
今、鈴子には健太がいるじゃん。
私には隆介しか・・・
いないんだよ・・・。
私から隆介を奪わないで…
大きな木は、円を描くよう大きく揺れた。
月を隠す大きな雲がもの凄い速さで動くのを、じっと見ていた。
隆介は、私がここにいることも知らないで・・・
鈴子に想いを伝える。
前の彼女に浮気されて傷ついた隆介を救ってくれたのが、鈴子だった。
マネージャーとして、野球の面でも、それ以外でも隆介は鈴子に支えられてた。
「俺、友達に裏切られた事あるから・・・健太が鈴子を好きだと言ってから、もう自分の気持ちを封印しようと思った。健太を裏切るような事、したくなかった。」
今、隆介はどんな顔してるんだろ。
鈴子は、どんな目で隆介を見てる?
「だけど、それじゃ・・・俺、前に進めないって気付いたから。」
バサ・・・
何かが落ちるような、音がした。
想像してしまった。
隆介が
鈴子を抱きしめる姿を・・・