あたしは歌歩(かほ)。

名前の通り、歌で歩んでいくために生まれてきたと思ってる。

この名前をもらった事だけは神サマにあたしを産んだ親に感謝するよ。
だって、歌だけは あたしを見捨てなかったの。

高校1年の夏にいじめにあって、あたしは心を閉ざした。

そして、あたしに必要のないものは全部捨てた。
歌う事だけ必要だからって。

それ以外のもの全部...感情も捨てた。

あたしの家族は中1の弟ばっかりで盛り上がって、あたしの事を話題にしない。
 

 まるで あたしがいないかのように...

最初は そんな日々が辛くて泣いたりしたけど 今はそんなコトもない。
高1の時のいじめから 心を閉ざしたことで

誰も信用できなくなって、ひとりになりたくて

親に一人暮らししたいって言ったらすんなりと受け止めてくれた。
お父さんは少し引きつった顔してたけど・・・
お金は出すから自立してみなさいってお母さんが解放してくれた。
解放って言っても お母さん達は心のどこかで・・・
あたしをどうやったら自分達から引き離せるか考えてたと思う。
ひねくれた人間でしょう?あたしって。自分でもわかってる。
だからって何を言われても変えようと思ってないから変わらない。
あたしは家族が嫌い。
家族という存在は良いものだと思うけど あたしは人に甘えるのが嫌い。
家族っていう肩書きひとつで、あたしを縛り付けたり見下したりするから。