それから上田さんは、戻ってこなかった。


30分がたったとき、秀二先輩が心配して電話をかけると
上田さんはトイレに行ってそこで友達と会って話し込んでたと言っていたらしい。


「ごめんな。俺、アイツのカバン持って行って来るから、お前は気をつけて遊んでろよ。また夜電話するよ。じゃあ、ユイカちゃん。こいつのことよろしくお願いします。」


秀二先輩はアイミのホッペを撫でて
あたしにお辞儀をすると
足早に去っていった。



「上田さん、友達多いんだねぇ。」


アイミはそう言って、ニコニコ笑ってココアを飲みだした。


「そうだね。」



あたしには分かる。
上田さんはうそをついている。


あたしに腹を立てて、いなくなっただけ。


何で腹をたてたか知らないけど。
謝る気もないけど。


だって、アタシは何もしてないし。


変人の思考カイロは意味不明だ。