ほぼ同時に、私とママが立ち上がった愛人を見た。


「すみません。これで失礼させていただきます」


パパとママに頭を下げる愛人。


「じゃっじゃあ、お迎えを」


ママが慌てて立ち上がった。


「車なら待たせてあるので、大丈夫です」


「そう?」


愛人からは、引き止めても無駄だってオーラが出てる。


どうしたんだろう、急に。


「失礼します」


愛人はくるっと身体の向きを変えて、部屋を出て行った。


「待って、マー君」


急いで追いかける。


「ねえ、どうしたの?何で急に?」


後姿に問いかける。