「はい。あっ、チョコレートのケーキがいいです」


「私は苺のケーキがいい」


「はいはい。両方作ってあげるから」


ママが優しく笑う。


「あっ見て!だんだんイルミネーションついてきたよ」


窓から外を見ると、街中が光り出してきた。


もうすぐしたら、大きなクリスマスツリーに明りが灯る。


「そろそろ見に行く?」


「うん」


席を立つと、そっと愛人が手を握ってくれる。


「寒くないか?」


「うん」


背中の方から、パパとママのそんな会話が聞こえた。


4人で外に出る。


外はもう暗くて、冷たい風が吹きつける。