本をパタンを閉じて亜季ちゃんを見ると、いつの間にか眠ってしまったみたいで、スースーと小さな寝息が聞こえてきた。


そっと亜季ちゃんの頬に手を添える。


「温かい・・・」


ねえ、亜季ちゃん。


元気になるって、愛人と約束したよね。


愛人ね、もうすぐ手術受けるの。


きっと元気になるから、亜季ちゃんも元気になろうね。


「美結ちゃん」


しばらくボーっと亜季ちゃんの寝顔を見つめていたら、亜季ちゃんのお父さんとお母さんが病室に入ってきた。


さっき私が来たのと入れ違いに、二人は先生の話を聞くって言って、病室を出て行ったんだ。


最近、亜季ちゃんのお父さんを知った。


背がスラッと高くて、笑顔がとても素敵な人だった。


「亜季、寝ちゃったのね」


「はい。あの、私はこれで失礼します」


亜季ちゃんを起こさないように、静かに椅子から立ち上がる。