愛人がアメリカに旅立って約2週間。


先日、手術の日が決まったと連絡があった。


「こんにちは、亜季ちゃん」


「お姉ちゃん」


愛人が旅立ってからは、毎日亜季ちゃんの病室を訪れてる。


「今日は、何読んでくれるの?」


「今日はね、シンデレラ」


そう言うと、亜季ちゃんは弱々しいものの、にっこりと笑顔を見せた。


今はもう、私と愛人に見せてくれたあの笑顔がない。


愛人がアメリカに向かった数日後、風邪を引いた亜季ちゃんは、そのままベットから起き上がれないでいた。


細かった身体はますます細くなり、見ていられないほど。


「お姉ちゃん、読んで」


「うん」


元気いっぱいだった声も、今はその身体と同じようにか細くなった。


「読むね」