愛人に向かって、亜季ちゃんが小首をかしげる。


「お兄ちゃん、明日手術を受けに行くんだ」


「手術?痛いの?」


「痛くないよ。それでな亜季ちゃん、お兄ちゃんと競争しないか?」


「競争?」


愛人の言ってる意味が分からなくて、亜季ちゃんと一緒に首をかしげてしまう。


「亜季ちゃんとお兄ちゃん、どっちが先に元気になるか。いいだろ?」


「うん!」


亜季ちゃんが元気にうなずくところを見て、愛人が笑顔になる。


「じゃあ約束な。治療は辛いかもしれないけど、途中で諦めないって」


そう言って愛人は、亜季ちゃんに小指を差し出した。


「指切り、しよっか」


「うん」


亜季ちゃんを愛人が指切りをするのを見て、私と亜季ちゃんのお母さんは、少しだけ笑顔になった。


そう、元気になるために、手術を受けに行く。