「ねえ、お兄ちゃん」


「ん?」


「亜季、お兄ちゃんにも抱っこしてほしいな」


そう言って愛人に手を伸ばす亜季ちゃんを、慌ててお母さんが止める。


「亜季、もういいでしょ?お兄ちゃんにもお姉ちゃんにも、迷惑がかかるから」


「えー」


「大丈夫です」


私から亜季ちゃんを受け取ろうとしたお母さんに、愛人が声をかけた。


「おいで、亜季ちゃん」


「でも、マー君・・・」


私にも大丈夫だと言って、愛人は亜季ちゃんを抱き上げた。


「わー高ーい」


私やお母さんより背の高い愛人に抱っこされて、ご機嫌の亜季ちゃん。


「なあ、亜季ちゃん」


「なあに?」