次の日、朝から病室に行くと、いつもより明るい笑顔で愛人は私を迎え入れてくれた。


「美結、昨日親と先生と話したこと、聞いてくれるか?」


「うん」


ベットの枕元に座ると、愛人が早速口を開く。


「昨日、笠原先生から、アメリカの病院のベットが空いたって言われた」


「えっ?」


愛人の突然の報告に、すごくびっくりした。


「じゃあ、アメリカに行くんだよね?」


「ああ。でも正直、手術は難しい」


「うん」


「向こうの先生に俺のカルテを送って見てもらったらしい」


愛人がギュッと私の手を握った。


「今回が、手術の最後のチャンスらしい」


「うん」


つながれた手を、私もギュって握り返す。