亜季ちゃんの頭をなでた同じ手で、私の頭もなでる愛人。


「私、子供じゃないよ」


「同じようなもんだろ?」


ハハッと声を出して、愛人は笑った。


「亜季!」


「あっ、お母さん」


小走りで私たちに近づいてきた女性に、亜季ちゃんは私に抱っこされながら大きく手を振った。


「もー急に走っちゃダメでしょ?ごめんね、美結ちゃん」


「うんん。大丈夫です」


何度か会ったことのある亜季ちゃんのお母さん。


小柄な女性で、亜季ちゃんもバッチリ受け継いだクリクリした目がやっぱり印象的。


「お姉ちゃんだって、急に走って行くから、追いかけるの大変だったわ」


そう言って亜季ちゃんのお母さんは、私から亜季ちゃんを抱き上げた。


「そうだ。赤ちゃん生まれたんですよね。おめでとうございます」


「ありがとう」