愛人が入院してる病院は、心臓の病気と小児の高度医療が有名。


亜季ちゃんも、そんな小児病棟に入院してる子の一人。


病気のせいか身体は驚くほど細いけど、クリクリした目が印象的な4歳の女の子。


「一ヶ月くらい前かな。一人ですぐそこのベンチに座ってたから、どうしたんだろうって思って声かけたの」


それが私と亜季ちゃんが知り合ったきっかけ。


「あっ、お姉ちゃん。あたしね、お姉ちゃんになったの!」


「ほんと~?」


亜季ちゃんがキラキラした笑顔を私に向ける。


「妹だよ。亜未っていうの」


「そっか。よかったね」


「うん」


亜季ちゃんが一人でベンチに座ってた理由は、妊婦さんだったお母さんがなかなか亜季ちゃんに会いに来る時間がなくて、いつもお母さんが来る入口の近くで待ってれば会えるんじゃないかって期待してたから。


寂しそうに絵本とウサギのぬいぐるみを抱えて座ってた亜季ちゃんを見たら、なんだか声を掛けずにはいられなかった。


「亜季ちゃん、サンタさん来た?」


「来たよ~おままごとセットもらったの。今度一緒に遊んで!」