部屋の飾り付けを終え、看護師さんにクリスマスツリーを見に行ってくると告げた私たちは、エレベーターに乗って1回に下りた。


「大きいね」


「ああ」


綺麗に飾り付けられたモミの木は、見上げないと一番上が見えない。


2階の廊下からが、ちょうど天辺に飾ってある星が見える。


「あーお姉ちゃん!」


しばらく二人でクリスマスツリーを見てると、どこからか聞き覚えのある、幼い子特有の少し高い声が聞こえてきた。


「亜季ちゃん!」


パッと私に抱きついてきた小さな身体を受け止め、抱っこする。


「お姉ちゃん、お友達?」


亜季ちゃんは、私と愛人の顔を交互に見比べる。


「うん。お姉ちゃんの大切な人」


「美結?」


今度は愛人が、不思議そうな顔を見せた。


「鈴木亜季ちゃん。ここの小児科病棟に入院してるの」