「美結は、愛人君のどこが好きになったの?」


「えっ?」


急にそんなことをママに聞かれて、思わずママの方を振り返る。


「えっと、マー君優しいし・・・」


「優しいだけ?」


「うーん」


好きだけど、具体的にどこが?って聞かれると意外に出て来ないことにびっくりした。


「ほんとに相手のことが好きだとね、どこが?って聞かれても分からないものよ」


「そうなの?」


「好きはな、頭で考えるものじゃない。感じるんだ、心で」


「好きな相手のことを思うと、心が温かくなったり苦しくなったりするでしょ?」


「うん」


「それがな、愛してるってことなんだ」


パパとママがお互いに見つめ合って、穏やかな笑みを浮かべた。


パパとママは、多分言葉なんかなくても心が通じてる。