「そうなんだ」


「それにね、運動制限もあるの」


「うん」


「私が普通に出来ることを、マー君は出来ないの」


言ってるだけで、涙が出てくる。


「じゃあママはね、愛人君のためにお菓子作っちゃおうかな」


「えっ?」


顔を上げたときに私の目に映ったママの顔は、意外にも笑顔だった。


「病院の先生と管理栄養士さんに聞いて、愛人君でも食べられるお菓子考えようかな」


「ママ・・・」


「ねえ、美結。愛人君が病気だって聞いて、どう思った?」


「悲しかったし、どうしてマー君なのって思った」


「うん。悲しいし、辛いよね」


ママが私の手を、ギュッと握る。


「でも聞いて、美結」