「愛人様は、手術を望んでおりません」


「ど・・・して?」


一柳さんの顔が、ますます曇る。


「わかりません。毎日私が説得しているのですか・・・」


どうして?


どうして愛人は、手術を望まないの?


「そんなの、そんなのヤダ。マー君が死んじゃうなんて、絶対ヤダ!」


私は本格的に泣きだしてしまった。


「美結様、どうな泣かないで。愛人様はきっと助かります」


「うっ・・・ひっく」


一度流れ出した涙は、なかなか止まらない。


「ヤダ、ヤダ、ヤダ」


駄々をこねる子供みたいに、私はヤダヤダと繰り返した。


「そんなの絶対ヤダ」


「美結様・・・」