「治る希望はないんですか?」


何とか声を絞り出した声は、とても小さなものだった。


「アメリカに・・・アメリカに心臓の専門病院があります」


「えっ?」


一柳さんの言葉に、ハッとして顔を上げた。


「そこに愛人様と同じ病気を持つ人を何人も治してきた有名なお医者様がいらっしゃいます。そこで手術を受ければ」


「じゃあ!」


闇の中から一筋の光を見つけ出した気がして、急に私は笑顔になった。


それでも一柳さんの顔は曇ったままで、また私の心を不安にさせる。


「多くの方がその病院に入院していて、ベットの空きを待つ状態です。愛人様の場合、数年前からベットの空きを待っている状態です」


「数年前から・・・」


きっとその病院は、入院して手術を受けたい患者さんで溢れ返っているんだと思う。


「今まで二度、空きが出来たので手術が出来るとの連絡をもらいました」


「じゃあ、どうして?」


次に聞いた一柳さんの言葉に、私はまた暗い暗い闇の中に落とされた気がした。