「うん」


このショッピングモールには、大型書店が入ってる。


3階のフロアが全部本屋になっていて、小説から雑誌、参考書まで幅広いジャンルの本が置いてある。


そろそろ会社帰りの人が増えてくる時間で、雑誌や漫画なんかを求めに来た学生なんかと一緒になって、平日なのにここは込んでいた。


「マー君は、どうやって本を選ぶの?」


「どうやってって?」


「たとえば、今人気の作品とか」


「特に決めてない。あらすじを読んで、面白そうだったらそれにする」


「ふーん」


小説コーナーに向かう。


右も左も本ばっか。


愛人は私の手を離し、何冊か本を手にとって裏表紙のあらすじを読んでる。


私も映画になってる某有名作者の小説を手に取り、愛人と同じようにあらすじを読んでみた。


500ページくらいの大作で、少し難しそうな内容だったけど勉強の合間に読むにはちょうどいいかと思い、それを買うことにした。


しばらく他の本も覗いていると、いつの間にか隣にいた愛人が居なくなってたことに気づく。