「また本読んでるの?」


「ああ」


丸い形をしたテーブルに椅子が二つ付いてる席に愛人はいた。


器用に足を組んで、鞄から出したであろう文庫本を読んでいる。


空いてる席に座って、私はアイスを食べ始めた。


「おいしい」


滑らかな舌触りに、酸っぱいけどほのかに甘みのあるレモンアイスはとてもおいしかった。


「ねーマー君」


「なに?」


「甘いもの嫌いって、どのくらい甘いのはダメなの?」


私の質問に、愛人がパタンと本を閉じた。


「ケーキ類はダメ」


「ふーん。他には?」


「砂糖とミルクの入ったコーヒーとか」


そう言って愛人は、思いっきり顔をしかめた。