ぐっと手を引っ張って、愛人の足を止めた。


「なに?」


「またあんたって言ってる。美結って呼んで?」


愛人の方が背が高いから、少し見上げる形になってしまう。


愛人の髪の毛が傾き始めた太陽の光に当たってキラッと輝いて、それが綺麗だなって思っていると、急に愛人が私から顔をそらした。


「ああ。気をつける」


ボソッと小さな声で呟くと、愛人はまた歩き出した。


しばらくすると、大きなショッピングモールについた。


平日だからかあまり人はいなく、なんだか寂しい感じもするけど、ゆっくりとお店を見て回ることが出来るから、人が少ない方がいいかなとも思ったりする。


「何見るの?」


「えっじゃあ、こっちから回って一周しない?」


「ん」


私の手を引いて、愛人はゆっくり歩き出した。


「マー君、あそこ」


早速お気に入りのお店を見つけて、愛人の手をクイクイ引っ張る。