「いっらしゃいませ、美結様」


「あっ、おじゃましてます」


この人、私のこと知ってる。


ってゆーか、この家の人だったら私のこと知らない方がおかしいよね。


私のおじいちゃんより少し若いその男の人は、小さなワゴンを押して部屋に入ってきた。


「愛人様、美結様がおいしそうなゼリーを持ってきてくださいました」


「ふーん」


誰だろ?この人。


「申し遅れました。私、愛人様の小さいころからお仕えしています、一柳と申します」


一柳さんは、私に向かって丁寧にお辞儀をした。


慌てて私も立ち上がって、一柳さんにペコリと頭を下げた。


「このゼリーは、手作りでございますね?」


一柳さんは、お茶の準備をしながら私に聞いた。


「はい。さっき作ってきました」


「そうですか」