「あんたもそんなとこ突っ立てると邪魔」


そう言われて、自分がまだドアの前に突っ立ってることに気づいた。


「えっと・・・」


どこか行く場所を探してたら。


「ここ、座れば?」


愛人がベットの隣に置いてあった椅子を指さした。


あっ、帰れとか言わないんだ。


「おじゃましまーす」


まだここに居ていいって言われてるみたいで、なんだか嬉しくなった。


「なんだよ、おじゃましますって」


「えっ?なんとなく」


「変な奴」


愛人の表情が、少し和らいだ。


「失礼します」


ドアを開けて入ってきた人は、私の知らない男の人だった。