―カタンッ…


いつの間に。

問うよりも先に、千佳君が一気に距離を詰める。


「え?」

「俺、もう遠慮しないから」

「は、」


不必要に近い距離に心臓が跳ねる。

頬が熱を帯びて、徐々に熱くなって紅潮していくのが自分でもわかった。


前にも、あった。


「あ、の」


不意に過ぎる、前にも似たような出来事。

いや、しかし、今のほうが断然恥ずかしい。


すっと、あの日のように千佳君の手が伸びて、髪を撫でる。

ゆっくりと、優しく撫でる手。

男の手なのだとわかる骨張った、けれども綺麗な手から伝わる温度。


「和泉」

「な、に…っ」


そっと、片手を自分が背もたれ状態にしている机に片手を付く。

自分の手と、温度差のある千佳君の手が触れ、何故か意識してしまう。

冷たい、けど。


「俺からの愛の告白受け取ってくれる?」


ぐっと寄せられた顔に、耳元での言葉。

状況が全く掴めない。