「ごめんっ!」
「大丈夫だよ」
両手を合わせて、頭を下げながら私に謝罪してくる由貴君。
謝罪の内容はもちろん、この間の杏奈さんとの一件。
私達が居なくなった後杏奈さんに事情をしっかりと聞いたらしい。
―内容、全然ちがうけどね…。
溜息をつきたくなる。
だけど、折角久々に一緒に居られるのだから、溜息なんてしていられない。
「じゃあ、行くか?」
「…うん」
そう思うのに、どうゆうわけか気が乗らない。
嫌な予感がするのだ。
折角の休日デートなのに…。
素直に楽しめない自分が憎らしい。
2人きりなのだから、もっと思いっきり楽しんで由貴君と過ごせばいいのに。
「和泉はどんな映画が好き?」
由貴君の明るい声に意識が浮上する。
にこっと、微笑まれる。
う、格好いい…っ!
顔に熱が集中していくのがわかった。
「えっと、ホラー以外なら大丈夫だよ」
「じゃあ、これにしようぜっ!俺、これ和泉と見たかったんだー」
彼の一言に気持ちが一気に明るくなった。