未だに女の子は泣いて俯いている。

確かに私は由貴君の彼女だ。

彼に浮気なんてされたくないし、断ってくれてよかったと思っている。

それなのに、どうしてか、告白してきた子のその後が気になってしまう。


――不安だ。


何がなのかはわからない。

でも、不安なのは嫌というほどにわかる。


「和泉」

「なに?千佳君」


名前を呼ばれてはっとする。

どうやら、自分の考えにどっぷりと浸かっていたらしい。


「…。…由貴、来たぜ」


じっと一瞬見つめられる。

薄茶の双眸に、呆けている自分が映った。


「え、あ、うんっ!」


―がたっ


勢い良く席を立ち、いつの間にかドアに寄りかかって私を待ってくれていた由貴君の所に駆け寄った。