「由貴っ!一緒に帰らない?」

「おー、いいぜ」


由貴君が杏奈さんに誘われて、一緒に帰る約束をする。

その光景を、私は最近ずっと見ている。




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「で、今日も沈んでるっと」

「どうしてそう、千佳君は傷口に塩を塗るような真似しかしないのよー」


しかし、千佳君の言っている事は正しい。

この間、私に宣戦布告をしてきた次の日から杏奈さんは毎日由貴君を一緒に帰る約束をしに教室へと足を運んでいる。

もちろん、私よりも早く、だ。

私が杏奈さんよりも先に由貴君がいる教室に行けたことは一度もない。


私が行けば必ず杏奈さんが居る。

そして、べたべたと由貴君と仲睦まじそうに話している。


それを見るたびに落ち込んで、教室に何故か居る千佳君にお世話になっている。


「まぁ、2組と、7組じゃな」


この学年のクラス数は全部で7クラスある。

由貴君はその中で、1組。

杏奈さんは2組、つまりは隣のクラスなのだ。


でも、私は7組。

この階で一番端の教室。

勝算など、無に等しい、とゆうか無い。



「でも…」

「杏奈は根性悪いからな。見せ付けたいんだろ」


そう、そうなのだ。

何故か、いつもいつも杏奈さんは私が姿を見せてから由貴君を誘う。

それは私への当て付け以外の何物でもなかった。