そのなっちゃんもこれまた初志貫徹、無事英二のお嫁さんに成って留守がちな彼に代わって子供を育てながら家庭を守って来た。


15歳のあの時の面影そのまま、優しい母に成ったのだった。


「じゃぁ、記念写真撮りますから、皆、並んでもらえますか!」


カメラを構えた教え子の一人が大きく手を振りながらそう話す。皆はゆっくりと集まり、僕を中心に扇形に並んだ。


僕は会場のバックに花で飾られた横断幕を見上げながらひみじみと実感した。


「――定年―か」


「じゃぁ、いきまーす、こちらをみてくださーい」


その声に、皆がカメラのレンズに視線を移す。そして眩しいフラッシュ。